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天と地


先日、JALに乗ると、ヘッドフォンから、懐かしいJET STREAMという番組が耳に心地よく、響いて来た。その台詞はこうである。“遠い地平線が消えて、ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、たゆみない宇宙の営みを告げています。満点の星をいただく果てしない光の海をゆたかに流れゆく風に心を開けば、きらめく星座の物語も聞こえてくる。夜の静寂(しじま)の何と饒舌(じょうぜつ)なことでしょうか。光と影の境に消えていった、はるかな地平線も、瞼に浮かんでまいります”という文句に昔の若かりし、自分を思い出しながら、時の過行くのを感じた。そう言えば、 『天と地と』は、海音寺潮五郎の上杉謙信の生涯を描いた歴史小説にもある。義に生きた勇猛な上杉謙信も、もはや、過去の人である。気がつくと、まさに、今乗っている飛行機は間もなく、天から、厚い雲を通り過ぎて、何とも言えぬ地上に降りて行こうとしていた。アー!


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